会計のことが面白いほどわかる本 会計の基本の基本編作者: 天野敦之出版社/メーカー: 中経出版発売日: 2001/04メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 6回この商品を含むブログ (26件) を見る

会計のことを初心者でも分かりやすく説明してくれている。無駄な話がなく、非常に内容がつまっている本。
ここ数日で読んだ会計関連の本で分からなかった事や不完全に理解していたことが、いろいろ解消された。
読むのは2度目だったが、会計関連の本をいくつか読んだことで、さらに理解しやすくなっていた。

この本は今後も何度か読み直すことになりそう。



原価償却についてさらに理解できたので、まとめ。

  • (P.134)利益を生み出すために必要となる高額な設備や機器に投資した場合、購入年に多額の費用が計上され大赤字、次年度以降は投資なしで多額の利益を計上することになる(そして、税金と配当が発生)。
    • 実際、それらの資産は数年に渡って利益を生み出し続けるものである。また、投資の原則は「払った費用以上に利益を稼ぐこと」であるので、例えば10億円の設備で10年間利益を生み出せる場合、「毎年1億円以上、その設備から利益を生み出せるはず」と考えられる。
    • そこで、実際には初年度に一気に支払ったかもしれないが、会計上は毎年1億円ずつ減価償却費として計上していく。
    • そのため、毎年その設備から作り出した売り上げから1億円引いた額が「その設備を使って得た収益」となる。
  • 何年で償却しなければならないか(耐用年数)は、設備によって決められている。
    • 実際にその設備そのものがどれだけ収益を生み出したのかを測るのは難しいから、一律に決められている。

そして補足事項追加。

  • (P.202)(P.275)商売のフローを大きく分けると「現金を調達し」「物を仕入れ」「販売して現金に変換」。利益を稼ぐためには次の2つの点に注目すること。
    • 保有している現金に対してこれを何回繰り返せるか(回転率)。
    • 1回転につき、いくらの収益を生み出せるか(利益率)。
  • 上の点を踏まえて設備投資について考えた場合、現金で高額な設備投資を行うと現金が減ってしまい、利益率を下げることになる。
    • 例えば、缶コーヒーを現金1000千万円で仕入れ、1月の間に合計2000万円で売れた場合、1000万円の儲け。設備投資で500万円を使ってしまうと、残り500万円で仕入れて1000千万円で売るので、500万円の儲けに減ってしまう。
  • 従って、大きな設備投資は原則、借金やリースで行うこととなる。利益を生み出せない、余っている現金がある場合は、現金で設備投資を行ったほうが利子を払わなくて済むので良い(そんなケースあるか?)。
  • 銀行からのローンなど借金で行う場合、返済期限が長いほど良い。投資する資産の耐用年数と同じ年数だと理想的らしい。
    • 例えば、耐用年数10年の1億円の設備に投資する場合、「毎年、その設備で稼ぐべき最低の利益」は1000万円である。この設備によって毎年2000万円、売り上げることができたとする。
    • 1億円借りて2年で返済する場合、1年目の返済額は5000万円。すると、もう3000万円余計に借りていないと返せない(1億3千万円借りると、返済額は6500万円になるので、実際はさらにたくさん借りる必要がある)。より多く借りるため、利子をより多く払うことになる。
      • しかも、3年目以降は売上から減価償却費を引いて毎年1000万円の利益となるので、これに税金がかかる。税率50%だと毎年500万円税金が引かれる。従って、3年目以降は毎年 売上2000 - 税金500 = 1500万円、現金が増える。
      • また、1, 2年目は決算上3000万円の赤字となり、他の設備による収益で補填しないといけない。赤字決算だと金を借りにくくなるペナルティが発生。上場会社だとさらに問題(配当が出ないため、株価の低下や社長の首が飛ぶ、など)。
      • 結果、最初の2年間で6000万円の赤字、残り8年間で1億2000万円。10年で合計6000万円、現金が増える。
      • 11年目以降もその設備で同じだけの売上を生み出せる場合、売上2000 - 税金1000 = 1000万円。次の10年で1億円、現金増加。
    • 10年で返済する場合、毎年の返済額は1000万円。余計に借りなくても返済できる。
      • しかも、借金返済と減価償却費により、10年間の収益は会計上プラスマイナス0。税金がかからない。毎年、売上2000 - 返済1000 = 1000万円の現金が増えることになる。
      • 結果、10年で1億円、現金増加。
      • 11年目以降もその設備で同じだけの売上を生み出せる場合、売上2000 - 税金1000 = 1000万円。次の10年で1億円、現金増加。
    • 20年で返済する場合、毎年の返済額は500万円。売上2000万円から返済額と減価償却費を引くと、会計上500万円の収益となる。税率50%なら、250万円の税金。毎年増える現金は、売上 2000 - 返済500 - 税250 = 1250万円。10年で1億2500万円、現金増加。
      • 11年目以降もその設備で同じだけの売上を生み出せる場合、収益は売上2000 - 返済500 = 1500万円。税金は750万円。売上2000 - 返済500 - 税金750 = 750万円。次の10年で7500万円、現金増加。
      • しかし11年目以降利益を生み出せない場合、売上0 - 返済500 = -500万円。次の10年で-5000万円。

上記の計算により、耐用年数と返済年数を同じにすることで税金を最も節約でき、最も早く現金を増やせる。耐用年数より長く借りても儲かる訳ではない。実際は利子の分、損する。しかも、設備がそんなに長く利用できるとは限らない。